2011年11月1日火曜日

クレオパトラの夢

イタリアの静物画家、ジョルジョ・モランディ。
生涯に2千点もの瓶の絵を
油絵の具で描いた画家。

風景画も少しあるが、ほとんどが瓶の絵。
大きさや種類、色は違っても瓶の絵。
構図もほとんど変わらない。
でも全部が少しずつ違う。
色彩も灰色、茶褐色を主として少しづつ違う。

生涯独身で、妹たちが彼の世話をしたと言う。
アトリエに閉じこもり、日々瓶に向かい合い、描き続けた。

世間的に見たら、完全な変人だろう。
でも芸術家に限らず、スポーツ選手でも科学者でも
人と同じことをしている人は、人と違う水準には行けない。
だから、ダヴィンチもアインシュタインもイチローも
変人のカテゴリーに入るのだろう。

人は自分の日常を大切にしながら、
自分には無い「日常」を生きる人に憧れる。
そこには多分に愛憎が入り混じっている。

モランディの廉価版の画集が欲しい。
たぶん出ていないから、買うことは出来ない。
長谷川利行の廉価版画集も無い。
佐藤哲三画集もないなー。
ハンマー・スホイ、アントニオ・ロペス・ガルシアの画集、
これらも見当たらない。

日本の若手芸術家の作品集を
次々に出版している求龍堂。
出してくれないかなと思う。

自分の描きたいものを模索していた若き日。
自分の個展の夢を見た。
そこには自分の描いたことのない作品群が展示されていた。

絵を描くことは夢見る行為なのかも知れない。
僕はもう、見知らぬ自分の作品の夢を見ない。