2014年4月27日日曜日

東京百景



荒木経惟(アラーキー)や、植田正治の写真が好きだ。

アラーキーの風景写真は、日常的なのにどこか違う。
対象はごくありふれた街並み、空。
でもアラーキーが撮ると、独特の情緒が生まれる。不思議だ。

植田正治の写真は鳥取砂丘のシリーズが有名。
家族や、近所の子供たちが、
砂丘と空のみの背景に、
植田の演出通りのポーズをとる。

ぼくも風景写真を時々撮っている。
それらはTokyo UFO Tokyo Dragon
の背景にも現れる。

大好きな二入の写真家の影響で、
ちょっと不思議な感じの写真が
撮れると嬉しい。

上はお茶の水駅周辺 (2010年2月3日)
下はお台場周辺である。(2013年5月4日)

2014年4月20日日曜日

明日なき世界

「風の谷のナウシカ」を久しぶりに読んだ。

戦争という人災がもたらした未来の世界。
瘴気と言う毒を吐き出す腐海。
利害や欲望のために、戦争を止められない
皇帝や権力者たち。

数年前と違って、
今の世界とダブって見えて来た。
とても残念なことに。

敵愾心を煽る社会。
単一の価値観を押し付けようとする権力者。
福島原発事故は腐海と同じく、
人の住めない世界を作り出した。

「原発の絶対安全神話」
「原発停止による電力不足」
「電力コストが安い原発」
ほんの少し前に、私たちが信じ込まされていたこと。
ほんの少し前のことだ。

「喉もと過ぎれば、熱さを忘れる」
でも本当に煮え湯を飲まされた人は、決して忘れはしない。
故郷を失くした人たちだ。

坂本龍一がビッグイシューのインタビューで語っていた。
「今まで敵だと思っていた人とも連携する必要がある。
そうしないと後20年で世界は終わってしまうかもしれない」
仲間内で自分たちの正しさを確かめあってもダメだと。
自分と反対の人を向き合う度量が必要だと。

本当の敵は、私の中にあるのだろう。
欲深く、権力や権威に弱い私の中に。

「苦しみや悲劇やおろかさは
清浄な世界でもなくなりはしない。
それは人間の一部だから」
そうナウシカは言う。

「俺たちみんなの中にヒトラーはいるけど、
同時に僕らは愛と平和をもっている」
ジョン・レノン

自分の中のヒトラー(弱さ・醜さ)を認めること。
それがヒトラーにならない為の秘訣だろう。

どんな人間でも過ちは犯す。
国家も権力者も人間の集まりだから、過ちを犯す。
自分も国家もおろかさと向き合わないといけない。
おろかさと向き合うことでしか、
私たちは学べないのだと思うから。

2014年4月19日土曜日

ナウシカの言葉

「どんなにみじめな生命であっても、

生命はそれ自体の力によって

生きています。

この星では生命は

それ自体が奇蹟なのです」


「生きることは変わることだ。

王蟲も粘菌も草木も

人間も変わっていくだろう。

腐海も共に生きるだろう」


「苦しみや悲劇やおろかさは

清浄な世界でもなくなりはしない。

それは人間の一部だから。

だからこそ苦界にあっても、

喜びやかがやきもまたあるのに・・・」


「巨大な墓や下僕などなくとも

私たちは世界の美しさ残酷さを

知ることができる。

私達の神は一枚の葉や

一匹の蟲にすら

宿っているからだ」

2014年4月6日日曜日

はるヲうるひと

春は恐ろしい。
気温差が大きく、老人がよく死ぬ。
自律神経がおかしくなる。

自殺者が多いのも春。
性犯罪が多いのも春。
前の彼女にふられたのも、
初恋の由美ちゃんにふられたのも春だ。

劇団ちからわざ第12回公演「はるヲうるひと」
素晴らしく、恐ろしい芝居である。
劇団主宰・作の佐藤二郎。
人間の持つ業、欲望や暴力性を露わにする。

友人の大高洋夫が演じる真柴哲雄。
はるヲうる娼婦たちの女衒として、暴力的に宿を支配する。
芝居は親子愛や兄弟愛、そして愛と欲望はどう違うのかを問う。
恐ろしく赤裸々に、情け容赦なく。

性を扱うのは難しい。でも我々は性を避けて生きられない。
それを、自分の性欲を、否定しようがしまいがである。

最近読み終えた米国作家のジョン・アーヴィングの小説、
「ひとりの体で」In  One  Person.
バイセクシャルである作家の自伝的小説らしい。
初めて恋したのが残虐なレスリング選手の男子。
次に恋したのが大柄で美しいトランスジェンダーの司書。
エイズの嵐と死に行く友人。家族たち。
下品な場面もエロスもさらりと描ききる。

エロス=生きる欲望(性欲も)タナトス=死への欲望(怖れ)
「はるヲうるひと」はエロスとタナトスを正面から描こうとしている。
芸術を創る人は「野蛮人」でないといけない。
芸術には狂気や毒が含まれているからだ。
しかも「繊細」でないといけない。世界を感じ取る力が必要だからだ。
この二つを併せ持つ、強靭な精神力を作り上げる努力が不可欠だ。

ヘボ絵描きの自分を奮い立たせてくれる、そんな芝居だった。

それにしても演出・堤泰之氏の大高評はよかった。
「大高洋夫は自ら焼いたパンを稽古場でみんなに振る舞うぐらい
よいパパなのに、殺し屋の目をしている」

羨ましい。
ぼくのライバル、ダヴィンチもピカソもゴーギャンも
殺し屋の目をしている。
ぼくの目は・・・・・。
残念ながら、優しい子羊の目なのだ。

2014年4月5日土曜日

ひさかたの

「ひさかたの光のどけき春の日のしづ心なく花の散るらむ」




紀友則

2014年4月2日水曜日

じゃみる *泣き叫ぶ

「あそこんちのオジ、ごーぎじゃみて、あたけてたのー」
「そいがー。なしたがろうかねー」

*訳 「あそこの家の次男坊が、物凄く泣き叫んで暴れていたよ」
 「そうなの。どうしたんだろうかねー」

「じゃみる」とか「あたける」てば、まだ使こうてるがろうかね。
(使っているんだろうかね)
オラは普段東京にいるすけ、(居るので)
なんも(全然)わからねーの。

しかし春になったのー。
こないさ(この前)実家の片貝(新潟県小千谷市片貝町)
に帰ってたまげた(驚いた)がども(だけでど)、
いっこ(ほとんど)雪がねえ。
こんげにねーがは、記憶にねえぐれーら。(無いほどだ)

たまげたと言えば、仲間と箱根に行ったが。
オラたちは朝から呑んでいい気分らった。
箱根湯本の干物屋さんの前、
お土産の干物を七輪で試食してたが。

人だかりの中に外人さんが居ての。
オラに英語で話しかけてきたがて。
「オラはヒッチハイクで西日本に行ぐ気らども、
オメさんどう思う?」
オラは答えた。
「日本じゃヒッチハイクはあんまポピュラーらねんだ、
難しいども、不可能ではねえと思うれ」
「オメさんは芸術家らか」と外人さん。
「そうら。オメさん何処から来なしたが?」(来たのですか)
「ニューヨーク」
「オラの知り合いにニューヨーク出身のしょ(人)が居るれ」
*会話は全部英語でした

ほしたけば(そうしていると)、
外人さんとオラをずっとカメラが追っかけているがに(ことに)
オラは気が付いて尋ねたが。
「オメさんらてば、何のが」
「テレビ東京らて」
「この外人さんを追っ掛けてるが。
『YOUは何しに日本へ』らて」
「ほいが」(そうですか)
「使うか分からんども、オンエアしてもいいろかね」
「どうせ使わんがろう。いいれ」(いいですよ)

テレビに出るがはしょうしい(恥ずかしい)んだいいろも、
たまげたども面白かったてー。

東京は桜が満開で、新緑の季節になったの。
花粉症がねーけば、いい季節らの。