「さあてと。」
久しぶりの仕事に疲れた神は、
深い眠りに落ちた。
目が覚めて、
神がとりわけ思いを込めて創った
ある惑星を覗いてみた。
ある者は平和な暮らしをしていた。
ある者は自らの欲望を抑えきれずに、
戦争を始めていた。
ある者は自らを「神」と呼ばせていた。
ある者は神を畏れ、神殿を建てた。
ある者は預言者を名のり、
神自身が考えもしなかった、
崇高な言葉を人々に説いた。
ある者は淫行にふけり、
ある者は禁欲を自らに課した。
ある者は世界の理を語った。
そのうちに思いもよらぬ大洪水が起きた。
大地はその全てが水に覆われた。
地上のあらゆるものが、
死に絶えたように思われた。
その時、神はひとつの大きな船を見つけた。
(了)
*1989年原作/2012年改訂
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