時間の概念など存在しなかった遠い昔、
神はひとりぼっちだった。
神にはただひとりの話し相手もなく、
そして何をするでもなく、
ただ虚空を漂っていた。
ある時、神は自分が退屈していることに気づいた。
そして、神はかつて自ら創り出した世界の記憶を頼りに、
再び世界の創造に着手した。
神は身の回りにある
気体や固体をこねくり回しながら考えた。
「どうして前は間違えたのだろう?
それとも間違っていなかったのだろうか?」
そう呟いてから、
自分にはもともと善悪の観念など
持ち合わせていないことに気づいた。
「俺には特別な考えなどありはしないんだ」
神は特別意識した訳ではないのに、
かつて存在したものと寸分違わぬ星を、
植物や動物、そして人間を創り上げた。
(続く)
1989年原作/2012年改訂
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