2015年9月14日月曜日

芸術と剽窃

芸術家は泥棒である。

そんな一節を本の中に見つけた。
芸術家は自分に先行した時代の
様々なスタイル、技術、思想的感覚的背景を、
まずは真似ることによって学ぶ。
それを盗む行為に例えているのだ。

20世紀を代表する芸術家の一人、
パブロ・ピカソがその典型だった。
少年時代はラファエロのように描き、
やがてゴッホ、ロートレックの影響を受ける。
さらにセザンヌ、アフリカの極端に抽象化された仮面、
彫刻に多大なる影響を受け、
キュビスム(立体派)を生んだ。
彼のその後のカメレオンのような七変化も、
彼が学んだ芸術の多大さ、多様さに負っている。

近代日本の天才芸術家、北大路魯山人は
講演などで過去に学ぶことの大切さを、
繰り返し説いている。
そして良寛の書や、明時代の染付から学び、
自らの書画、作陶の世界を大きく前進させた。

それでは、創作と盗作の違いはあるのか?
ピカソの場合も魯山人の場合も、
手本とした対象が分かりながらも、
それぞれがピカソの作品、
魯山人の作品になりえている。

剽窃や模倣は芸術の肥やしとなるが、
単なる盗用となる場合もあるのである。
いったいどっちなんだ?
それは個々に分析し判断する他ないのである。

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