芸術家は泥棒である。
そんな一節を本の中に見つけた。
芸術家は自分に先行した時代の
様々なスタイル、技術、思想的感覚的背景を、
まずは真似ることによって学ぶ。
それを盗む行為に例えているのだ。
20世紀を代表する芸術家の一人、
パブロ・ピカソがその典型だった。
少年時代はラファエロのように描き、
やがてゴッホ、ロートレックの影響を受ける。
さらにセザンヌ、アフリカの極端に抽象化された仮面、
彫刻に多大なる影響を受け、
キュビスム(立体派)を生んだ。
彼のその後のカメレオンのような七変化も、
彼が学んだ芸術の多大さ、多様さに負っている。
近代日本の天才芸術家、北大路魯山人は
講演などで過去に学ぶことの大切さを、
繰り返し説いている。
そして良寛の書や、明時代の染付から学び、
自らの書画、作陶の世界を大きく前進させた。
それでは、創作と盗作の違いはあるのか?
ピカソの場合も魯山人の場合も、
手本とした対象が分かりながらも、
それぞれがピカソの作品、
魯山人の作品になりえている。
剽窃や模倣は芸術の肥やしとなるが、
単なる盗用となる場合もあるのである。
いったいどっちなんだ?
それは個々に分析し判断する他ないのである。
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