スナフキンは焚き火で沸かしたコーヒーを飲みながら、
宛名のない手紙を書いた。
ペンをコーヒーポットの脇に置いて、
スナフキンは考えた。
「世界は美しい。
でも何故美しいのだろう。
世界は恐ろしくもあり、不可思議でもある。
そして矛盾に満ちている。
でも、それらはすべて、
ぼくらの心の現れにすぎないのだろうか?」
ジョンは、紅茶とトースト、オニオンスープの
軽い朝食を済ませた後、
新聞を取りに郵便受を覗いた。
新聞の代わりに、ジョンへと書かれた
差出人の名前がない白い封筒があった。
中には真白な紙に
「夢」と大きく書かれていた。
不思議な思いに囚われながらも、
ジョンは考えた。
「夢・・・。
そうだぼくらには夢がある。
みんなが夢や希望を語れば、
世界はもっと美しくなるに違いない。
そしてそのことによって、
ぼくは様々なものと繋がっていくのだ」
ラジオのスピーカーからは、
ジョンの曲である‘イマジン’’が流れていた。
窓の外ではセントラルパークの木々が、
秋の朝日を浴びて輝いていた。
ジョンはふと、秋の光景を描いた
アンリ・ルソーの絵を思い出した。
了
*1996年作/2013年改訂
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