2011年5月6日金曜日

綺麗なロバ

 万華鏡の中に映る
 綺麗なロバ
 
 大きな耳と大きな瞳
 赤い首輪には白や黄色の薔薇の刺繍
 馬の皮の鞍

 紫色の一輪車が綱の上を走る
 暗い藍色の天幕
 眩しいスポットライト

 道化師のパウロは
 泣きながら笑っている
 白と赤のストライプ
 だぶだぶの服が波打っている

 君の家に着いた
 まだ夜は明けていない
 君の窓に明かりはない
 街灯の明かりをじっと見つめている

 綺麗なロバは輪舞を踊る
 万華鏡の中
 パウロが追いかける

 ショーは終わったのに
 まだ誰も帰ろうとはしない
 拍手せず立ちもせず
 皆うな垂れている
 帰り道は細く曲がった道

 舞台裏の綺麗なロバ
 一輪車乗りの少女を見つめる
 少女は万華鏡に夢中だ

 星の明かりは弱く
 月の明かりは強い
 綺麗なロバは月の女王に一礼する

 百草を食べる綺麗なロバ
 階段を昇る月の女王
 天蓋のベッドには金色の雨

 明日の雨を気にしながら眠る

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