2014年6月8日日曜日

見知らぬ駅で

「すいません。
乗り過ごしたみたいなんですけど・・・」
ぼくは小さな駅の改札で駅員に尋ねた。

ひとつ前の駅を通り過ぎた時、
知らない駅の表示に気付いたのだ。
ぼくは、パスモの定期券を駅員に見せた。

「おかしいなあ・・・」
帽子をきっちりと被った真面目そうな若い駅員が言った。
「定期券の駅から、何度も乗り換えをしないと
ここの駅には着かないんです」
「えっ。〇〇駅から、何時間ぐらいかかりますか?」
「うーーん。〇時間ですね・・」

咄嗟に曜日と時間が気になった。
今日は何曜日で、今何時なのだろう?
駅の周りは小さな山に囲まれていた。
裸の山に、処々白いものが見えた。

駅舎を出て、階段を下った。
駅は丘の上にあった。奥多摩線に似ている。
近づいてみると、白いものは雪だった。
雪?今は何月なんだ?
白い雪は、残雪ではなく新雪だった。
でも寒くはない。

通りすがりの高校生に尋ねる。
「ここは何処ですか?」
詰襟の学生服をきた男の子が答える。
「〇〇漁港です」
「漁港?」
男の子は坂の下を指差した。

坂を下った右手には海が広がり、
太陽がキラキラと波間に揺れていた。
岸部には割合大きな港があり、
港の周りには街並みが見えた。

振り返ると駅舎があり、
小さな駅前の長い階段には、
通勤客や通学客とおぼしき人が見えた。

頭のうしろから、聴き慣れた声が聞こえた。
以前同僚だった人だ。誰だっけ?
「それでさ、こうなったわけ」
大きな声で隣の少女に話しかけている。

「ああ、〇〇〇さんか・・・・」
それで漸く、ぼくはこの夢から目覚めた。

0 件のコメント:

コメントを投稿