カッターナイフで左手の人差し指を切った。
人差し指の先端から真っ赤な血が流れた。
油断したのだ。
B2サイズのスチレンボードを裁断していて、
ふと考え事をして、目を逸らしていた。
「やってしまった」と思ったが後の祭。
緑色のカッター台の上に、楕円形に切り取られた
自分の指先の皮を見つけた。
よほど、スパッと切り落としたのだろう。
綺麗な楕円形には血の一滴も付いてなかった。
直ぐに絆創膏を貼った。
あっという間に血が溢れ出し、とても追いつかない。
仕方なく、ガーゼの上にテープできつく巻いて止血した。
漸く出血は収まったようにみえた。
地震の時に7階屋上のプールから大量の水が溢れた。
水はすぐ脇にあった階段を伝い流れ落ちた。
まるで滝のように。
階段から各階の廊下に流れ込んだ。
エレベータにも流れ込んでいる。
外での一般避難者の誘導を終えて戻った。
二階の階段前で、 数人が水を階下に流れ落とす作業をしていた。
大きなベニヤ板で作業していた女性に、
「替わりましょう」と言った。
指先に力を入れてベニヤ板を掴み、
床に水平に水を押し出す。
20分ほどの作業でほとんどの水は
一階へ移動させることが出来た。
左手の人差し指を見ると、
ガーゼから血が滴り落ちていた。
ほとんど徹夜での避難者への対応を終えて、
乾パンが入っていた一斗缶をかたづける作業をした。
缶切りでギザギザに切り取られた口の処で
今度は右手の中指を二カ所切った。
二日で指に三カ所も傷つけたのは
初めてのことだった。
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