2011年3月21日月曜日

ありふれた日常

 換気扇掃除をした。
 半年ぶりのことである。

 薄いナイロン製手袋を両手に着け、
 油がべっとりと付いた換気扇を外す。
 新聞紙の上に置いて、専用の洗剤スプレーをかける。

 白い泡が油を浮かせてくれる。
 青いTシャツを切り抜いた布で拭く。
 良く落ちて気持ちがいい。

 換気扇を終えると周りの壁面や窓の周り、
 ガスコンロの下と、シンクの周りも掃除する。
 
 思いもかけない3連休の最終日。
 本当ならば土曜日も春分の日の今日も一日仕事の筈だった。
 3日続けての休みは正月に実家に帰って以来だ。
 田舎では、そんなにのんびりは出来ない。
 本当に何も予定のない3連休は、あまり記憶がない。

 地震の影響で交通機関の運休や二日続いての停電を経験した。
 被災地とは比ぶべくもないが、
 そんな毎日に多少緊張していたのだと思う。

 土曜日に新宿へ出掛けた。
 街はいつもの喧噪を取り戻そうとしているように見えた。
 
 見慣れた光景の大きな通り。
 僕のキャラクターである恐竜のプロントくんが歩いている処を夢想する。
 プロントくんは到るところに現れ、
 少女ナナを背中にに乗せて歩き回る。

 スタジオジブリの中心を支える宮崎駿と高畑勲。
 彼らはアニメの基本は、日常の動作をキチンと描くことにあると言う。
 
 非日常はありふれた日常と対比して考える必要がある。
 不条理や幻想、妄想は日常と共に在る。

 そもそも私たちが日常と信じているものとは何か。
 日常も非日常のいずれも、
 人間の小さな視点から捉えられたものに過ぎないのではないか。

 私たちは自分が日常だと思い込んだ世界から、
 少しずれた地点に立つと、其処を非日常だと認識するのではないか。

 ありふれた日常と我々が思い込んでいる世界は、
 実は奇跡のような偶然の積み重ねによるものではないだろうか。

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