換気扇掃除をした。
半年ぶりのことである。
薄いナイロン製手袋を両手に着け、
油がべっとりと付いた換気扇を外す。
新聞紙の上に置いて、専用の洗剤スプレーをかける。
白い泡が油を浮かせてくれる。
青いTシャツを切り抜いた布で拭く。
良く落ちて気持ちがいい。
換気扇を終えると周りの壁面や窓の周り、
ガスコンロの下と、シンクの周りも掃除する。
思いもかけない3連休の最終日。
本当ならば土曜日も春分の日の今日も一日仕事の筈だった。
3日続けての休みは正月に実家に帰って以来だ。
田舎では、そんなにのんびりは出来ない。
本当に何も予定のない3連休は、あまり記憶がない。
地震の影響で交通機関の運休や二日続いての停電を経験した。
被災地とは比ぶべくもないが、
そんな毎日に多少緊張していたのだと思う。
土曜日に新宿へ出掛けた。
街はいつもの喧噪を取り戻そうとしているように見えた。
見慣れた光景の大きな通り。
僕のキャラクターである恐竜のプロントくんが歩いている処を夢想する。
プロントくんは到るところに現れ、
少女ナナを背中にに乗せて歩き回る。
スタジオジブリの中心を支える宮崎駿と高畑勲。
彼らはアニメの基本は、日常の動作をキチンと描くことにあると言う。
非日常はありふれた日常と対比して考える必要がある。
不条理や幻想、妄想は日常と共に在る。
そもそも私たちが日常と信じているものとは何か。
日常も非日常のいずれも、
人間の小さな視点から捉えられたものに過ぎないのではないか。
私たちは自分が日常だと思い込んだ世界から、
少しずれた地点に立つと、其処を非日常だと認識するのではないか。
ありふれた日常と我々が思い込んでいる世界は、
実は奇跡のような偶然の積み重ねによるものではないだろうか。
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