2011年7月10日日曜日

モダニズムの起源

建築史家で建築家の藤森照信。
彼の書いた「人類と建築の歴史」を読んだ。
大変面白く、興味深い本だった。

驚いたのはモダニズム建築の起源。
藤森はシカゴ万博の日本館だという。
それを見て感動したフランク・ロイド・ライト。

かれが日本館の建物、
平等院鳳凰堂を模して作られた建築にについて論じた本。
それがヨーロッパに渡り、
バウハウスのミース・ファンデル・ローエ、
ウオルター・グロビウスらに多大なる影響を与えたという。

19世紀までの欧州建築は歴史主義で、
インターナショナル様式と呼べるようなものでは無かった。
つまり、古代ギリシャ、古代ローマなどのスタイル。
それが20世紀の最初の30年で全く変わったらしい。
構造的にも壁で建築していた西洋に対して、
平等院様式の、柱で建築を組み立てるブランは画期的だった。

個人的には「日本美の再発見」を書いた、
独逸の建築家ブルーノ・タウトの功績もあると考える。
彼が賞賛した京都の桂離宮。
極めてシンプルな造形はまさにモダニズムに通じる。
彼の著作は欧州でかなり知られたらしい。
当然これらもバウハウスに影響を与えただろう。

もう一つはキュビスムの影響。
全てのフォルムを幾何的に単純化すること。
単純化した形を面として扱うこと。
面と面の組み合わせをずらしたり、
離したり自由に行うこと。

藤森氏によれば日本の影響を受けた上で、
数学的な幾何学を用いたことが、
モダニズム建築の基本となったという。

これを読み終えた時、
建築に先立って19世紀の印象派美術に対して、
日本の浮世絵版画が与えた影響が頭に浮かんだ。
(つづく)

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