建築史家で建築家の藤森照信。
彼の書いた「人類と建築の歴史」を読んだ。
大変面白く、興味深い本だった。
驚いたのはモダニズム建築の起源。
藤森はシカゴ万博の日本館だという。
それを見て感動したフランク・ロイド・ライト。
かれが日本館の建物、
平等院鳳凰堂を模して作られた建築にについて論じた本。
それがヨーロッパに渡り、
バウハウスのミース・ファンデル・ローエ、
ウオルター・グロビウスらに多大なる影響を与えたという。
19世紀までの欧州建築は歴史主義で、
インターナショナル様式と呼べるようなものでは無かった。
つまり、古代ギリシャ、古代ローマなどのスタイル。
それが20世紀の最初の30年で全く変わったらしい。
構造的にも壁で建築していた西洋に対して、
平等院様式の、柱で建築を組み立てるブランは画期的だった。
個人的には「日本美の再発見」を書いた、
独逸の建築家ブルーノ・タウトの功績もあると考える。
彼が賞賛した京都の桂離宮。
極めてシンプルな造形はまさにモダニズムに通じる。
彼の著作は欧州でかなり知られたらしい。
当然これらもバウハウスに影響を与えただろう。
もう一つはキュビスムの影響。
全てのフォルムを幾何的に単純化すること。
単純化した形を面として扱うこと。
面と面の組み合わせをずらしたり、
離したり自由に行うこと。
藤森氏によれば日本の影響を受けた上で、
数学的な幾何学を用いたことが、
モダニズム建築の基本となったという。
これを読み終えた時、
建築に先立って19世紀の印象派美術に対して、
日本の浮世絵版画が与えた影響が頭に浮かんだ。
(つづく)
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