秋の日の始まり
陽射しは柔らかく影を落とす
玉川上水歩道の林を抜けて
川底の水面はあるいは黒く
あるいは白く、光と闇を反映している
川辺の土手には曼珠沙華
鮮やかな赤い花弁は此岸から彼岸へと誘う
とりとめもなく日々のことを話し合った
読んだ本の話、最近観た古い映画のこと
アラビアのローレンス
フェルメールの手紙を読む青衣の女
通信文化の幕開けと市民文化の成熟
17世紀フランドルのレシピ
固くなったパンとミルクで作るお粥
あの絵は間違いなく傑作だと
見る前から想像が膨らむ
ネコバスに乗った
ふかふかの天井に触れた
車窓から見える風景は
繰り返し観たあの夏の夕暮れ
バナナ味のアイスクリーム
帰り道、夕焼けの空に一筋のひこうき雲
茜色の雲を左右に分かつ
大きく個性的な三鷹の住宅街を歩く
遠目にも印象的で大きな緑色の銅葺きの屋根
山本有三記念館の洋館だと気付いた
暮れかかる秋の夕暮れ
駅ビルの灯り、街灯、ネオンなど
様々な色の灯りが目の前に在った
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