2011年1月23日日曜日

教育テレビ

 例年、年末から年始の時期に、
 NHKで人気のあった番組がまとめて放映されている。

 今年は名物教授マイケル・サンデルの「ハーバード熱中教室」、
 坂本龍一が音楽の歴史と
 それぞれの音楽の特徴を実演つきで語る音楽の学校「スコラ」、
 この二つだった。

 どちらも面白かった。 

 「熱中教室」はテレビで見た内容が活字化されて刊行されている。
 上巻を読んだ。活字だとよりよくその様子が分かる。

 ハーバードで人気のなかった政治哲学という科目が
 1000人を超える学生を集めるようになったという。

 米国の新保守主義の考えの根底が少し分かった。
 リバタリアン。自由主義者と訳せば良いのだろうか。
 これは市場原理主義とも重なっていることが分かった。

 オバマ政権の国民皆保険制度に反対する考えの根底であり、
 スーパーエリート達の高収入を裏付ける根拠である。

 彼らの思想は哲学者ジョン・ロックに由来しており、
 個人を絶対視するその考えから、
 社会福祉を擬声にしても個人を守ろうとし、
 課税でさえも個人の権利の侵害に当たると考える。

 リバタリアンは欧州の福祉政策を社会主義的と呼ぶのだろう。
 しかし社会主義の中国では貧富の差が拡大している。
 資本主義と社会主義の色分けは怪しく、
 それこそサンデル氏の政治哲学の理論から学ぶべきことなのだ。

 西洋的な思想、近代主義もそうだが
 それにはキリスト教の思想、特にプロテスタントが根底にある。
 だからサンデル氏の授業に喝采を送りながらも、
 東洋人の自分としては違和感も覚える。

 それにしても日本の近代化は「違和感」をどう取り込み、
 消化し「和風」にしていくかの歴史だったのではないか。
 それは「洋食」「洋館」が和風であることと同義であろう。
 西洋文明への憧れとその違和感の消化が、
 日本の国の文化に変革をもたらしたと思う。

 そしてますます目先を追おうとする日本社会に必要なのは
 理念を問うことではないだろうか。
 そういう思いを強くする。

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