2011年2月2日水曜日

美術コレクション

 美術作品を買った。

 1月の半ば過ぎ。松明堂ギャラリーの展覧会でだ。
 作者は望月通陽氏。染色の作品。
 縦長の小品で赤茶の地に白く切り取られた人物と
 ラテン語らしき文字が並ぶ。
 銀色の額が良く似合う。
 ステンシル技法の型染めだろう。

 望月氏は光文社の古典新訳文庫で
 表紙絵も手がけておられる。

 手元にシェイクスピアの「十二夜」がある。
 ペンに依る線描のみで描かれた独特の人物。
 それは羽のある天使のようでもあり、
 長い衣を纏って円舞を踊る人のようでもある。

 PASSATOと名付けられた個展に原画が一点あった。
 パウル・クレーを思わせる細かいギザギザの線。
 描かれた人物のイメージは一目で望月さんと分かる。

 ガラス作家やブロンズ彫刻作家との共同作業の立体。
 唐津焼作家との焼き物の作品。
 お茶席に合いそうな非売の屏風も素敵だった。

 自慢じゃないが金は無い。
 住んでいるアパートも1DKだし古い。
 家財はほとんどがリサイクルショップで買った。
 2千円の洗濯機、炬燵にソファ食器棚も似たような値段。
 
 けれど購入した美術品は5点目。
 トルコの「ノアの箱船」の細密画。
 彫刻家青木野枝氏の銅版画。
 友人で美術家の野沢くんの立体。
 テディベア作家外間宏政氏のクマくんはまさきちと名付けた。

 どの作品も買うつもりで展覧会に行った訳でなく、
 お金もないのに欲しくなって買ってしまったものだ。
 
 買った作品を眺めながら、
 僕の作品を買ってくれた人の気持ちを思う。
 新しい作品もお金を出して買って貰うに値するか考える。
 
 ゴッホも手紙の中で自作の値段について語っている。
 だいたい3万円くらいの価値があると書いている。
 後の彼の成功を知る前に買った人はわずかしか居なかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿