2010年10月12日火曜日

神無月の夕暮れ

 土曜日のこと。
 仕事帰りに小川駅に下車し百薬へ向かった。
 朝からの雨が降り続いていた。

 百薬へ向かう駅前通りには30mほどの金木犀の並木がある。
 雨に打たれて道端に落ちたオレンジ色の花びらが
 細い川のように繋がっていた。

 去年の今頃も雨が降り、
 金木犀の花がすっかり散ってしまった事を思い出した。
 でも10数年も百薬に通い続けて
 金木犀の並木に気が付いたのは一体何時のことだろうか。
 数年より前でないと思うのだが。

 今年も神無月となった。
 作品制作が足りなかった。
 言い訳はしたくないので、残りの日々は制作に励もう。

 朝と夕暮れの空が美しい季節になった。
 ゴミゴミとした新宿の空にも、
 いやそんな新宿だからこそ秋の空は一層と美しい。
 夕暮れの暗闇は街を美しく見せる。

 仕事の帰りに数枚の風景写真を撮ることがあっても
 たいていは通り抜けるように西武新宿駅へと向かう。
 途中下車は小川駅。
 
 目指すは百薬の長の手前の金木犀と
 百薬の長のお酒である。

 明日はレバ刺しと熱燗を楽しもう。
 まだ金木犀が残っているといいのだけれど。

 「白玉の歯にしみとおる秋の夜の
 酒はしづかに飲むべかりけり」牧水

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