2010年3月7日日曜日

春と修羅

 仕事の後で、上野に出掛けた時のこと。

前日とは違って暖かい午後だった。
 沈丁花の甘い香りが漂っていた。
 花の姿を探したが、辺りにそのその姿はなかった。

 暖かな夕暮れだった。
 満開の梅は盛りを過ぎていた。
 早咲きの大寒桜が咲いていた。

 ところが一転、
 今日、3月9日は真冬の寒さである。
 夕方からの雪が夜までに積もった
 なごり雪だ。
 こんなに寒暖差が激しい年も久しぶりだと感じる。

 芸術家になるには、野蛮でなければならない。
 繊細さは必要だが繊細だけの人は寧ろ向かない。
 たぶん文学や音楽、演劇や映画など全てに共通すると思う。
 勿論この野蛮人は繊細さを持ち合わせなければならない。

 野蛮力と繊細さ。
 この相矛盾する力が芸術の魔力を引き出すのだろう。
 
 ライバルのピカソが凄いなあーと思うは、
 創る力は勿論だが自分のスタイルを、 
 惜しげもなく壊す力ではないだろうか。
 普通は一生涯に一つのスタイルを確立するだけで精一杯である。
様々なスタイルを創っては壊すピカソは、
 幼児の残虐さを備えている。
 
 創るために、壊す勇気を持ち続けること。

 それは移りゆく春を感じ取り愛でながら、
 修羅として生きることを自覚することだ。

 それにしても柳の新緑は美しいと思う。

 「この道しかない春の雪ふる」山頭火 

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