仕事の後で、上野に出掛けた時のこと。
前日とは違って暖かい午後だった。
沈丁花の甘い香りが漂っていた。
花の姿を探したが、辺りにそのその姿はなかった。
暖かな夕暮れだった。
満開の梅は盛りを過ぎていた。
早咲きの大寒桜が咲いていた。
ところが一転、
今日、3月9日は真冬の寒さである。
夕方からの雪が夜までに積もった
なごり雪だ。
こんなに寒暖差が激しい年も久しぶりだと感じる。
芸術家になるには、野蛮でなければならない。
繊細さは必要だが繊細だけの人は寧ろ向かない。
たぶん文学や音楽、演劇や映画など全てに共通すると思う。
勿論この野蛮人は繊細さを持ち合わせなければならない。
野蛮力と繊細さ。
この相矛盾する力が芸術の魔力を引き出すのだろう。
ライバルのピカソが凄いなあーと思うは、
創る力は勿論だが自分のスタイルを、
惜しげもなく壊す力ではないだろうか。
普通は一生涯に一つのスタイルを確立するだけで精一杯である。
様々なスタイルを創っては壊すピカソは、
幼児の残虐さを備えている。
創るために、壊す勇気を持ち続けること。
それは移りゆく春を感じ取り愛でながら、
修羅として生きることを自覚することだ。
それにしても柳の新緑は美しいと思う。
「この道しかない春の雪ふる」山頭火
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