2010年3月20日土曜日

千と千尋の神隠し

 「千と千尋の神隠し」を見た時気付いた。
 宮崎駿作品のテーマはほとんど同じで、
 女の子の自立を描いていることに。

 それを友人のK氏にメールしたら、返事が来た。
 今頃気が付いたのかと。
 
 そう、最近になって気が付いたのだった。
 「千と千尋の神隠し」を再放送で見た時だった。
 K氏は続けて、カオナシの造形が素晴らしいと。
 あれこそ宮崎駿自身の無意識を、創造のデーモンを
 現しているのだと。

 確かにカオナシの凶暴さ、傍若無人なキャラクターは
 あの湯屋の世界の中で非常に象徴的だと感じる。
 カオナシは同時に、我々の日常に潜む暗黒の部分、
 暴力、破壊、事故や天災なども現しているのかも知れない。
  
 僕は、千尋が釜爺に働かせて貰うために、
 湯屋の階段を駆け下りる場面が好きだ。
 千とカオナシが海の中の電車に乗る場面が好きだ。

 NHKの朝のニュースで知った漫画家星野之宣の作品
 「宗像教授異考録」に嵌っている。
 宗像教授は考古学者で専門は鉄や金属の歴史である。

 金属の伝播と神話の関わり、海洋民族が果たした役割など
 教科書ではあまり関心を持てなかった世界が、
 活き活きと描かれている。
 
 ギリシャ神話と日本神話の共通性や、
 花咲爺さんの変遷なども興味深い。
 文化の持つ意味合いは、我々が思っている以上に深い。

 古代の世界においても文化の伝播は強く、
 似たような文化基盤を共有していたと思われる。
 それでも民族や地域、歴史の違いによって
 形成される文化のかたちは、それぞれ異なっている。

 戦争で、武力で他民族を侵略出来ても、
 他民族の文化を支配出来るわけではない。

 自国の文化に興味を持ち深い理解することと、
 他国の文化に憧れと畏敬の念を持つこと。
 この一見矛盾しているように思われることを、
 共存させる人が文化人であり、国際人なのではないか。

 心配することはない。
 すき焼きにオムライス、トンカツにカレーライス、
 洋食と言われるものは全て立派な日本食になっている。
 我々は他文化の受容において、最も優秀な存在である。
 それを自覚すればいいのだ。

 千と千尋の神隠しの世界も
 見事にコスモポリタンでありながら、
 何処から見ても和風であった。

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