昨日の日曜日は快晴だった。
土曜日に百薬に寄ったお陰で
ぐっすりと寝て起きた。
バンマスのポールさんから届いたメールに
ライブの曲順が書いてあった。
朝からライブの練習をした。
CDを聴きながら、ギターを弾き歌う。
土曜日にあった緊張感が和らいでいた。
Lucy in the sky with diamonds を
CD無しで弾き語りで練習した時、
左耳の上で、僕の声にハミングして歌う、
ジョン・レノンの声が聞こえた。
サビの部分の一番高いキーをジョンは歌う。
「ルーシーィンザスカアイウイズダイアーモンズ」と。
勿論CDプレーヤーは止まったままだ。
幻聴ではない。
幻聴の一種かも知れないが、言うなれば残聴である。
同じ音を聞き続けると、脳内に音が残留するのだろう。
それが日常化すれば、勿論立派な?精神病になる。
太宰治の短編、「トカトントン」の世界である。
「10人くらい集まるかな・・・・」。
あまりパッとしない本番前のリハーサルの後で、
バンドマスターのポールさんが言った。
国分寺駅前のデニーズで本番前の腹ごしらえをし、
景気づけに生ビールを飲んでいた。
「5分前だけど始めよう」。
開始5分前にもかかわらず、会場はすでに満員だった。
それから2時間半。
入れ替わりのお客を含め約50名のお客さんの前で、
夢見心地で、歌い演奏した。
地下一階にある縦長のライブハウス「ラバーソウル」。
その名の通り、ビートルズをこよなくリスペクトする
オーナーの気持ちが痛いほど伝わってくる店内だ。
英国調のインテリアにビートルズの数々のポスター。
彼ら使用と同じモデルとおぼしき沢山のギター。
そしてモニターではこれから僕が歌うヘイジュードを
ポールが歌っている映像見える。
大勢のお客さんの熱気で盛り上がった店内。
そんなただ中で一瞬頭をかすめる、もうひとりの自分の囁き。
「オレは何でここにいるんだ!?」。
「お前は絵描きで、ミュージシャンじゃない。
こんなに凄いメンバーと素晴らしいお客の前で、
お前だけが場違いだ」と。
「そうだな・・・」と頷く。
けれど今はライブの真っ最中だ。集中しろ!
よしいひろしAがよしいひろしBにそう命令する。
(つづく)
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