中学1年生の頃だった。
ビートルズに続いて、フォークが心を捉えた。
同級生の直登の姉ちゃんがレコードを持っていた。
「岡林信康の世界」が衝撃だった。
アングラフォークというか、
拓郎の「結婚しようよ」とは別の世界だった。
「チューリップのアップリケ」や「流れ者」
そして「私たちの望むものは」。
友人の大高が出演した芝居「僕たちの好きだった革命」。
終了前に主演の中村雅俊がギターの弾き語りで歌っていた。
「今あるうーふ幸せーーに留まってはならなあいーー。
まあだ見ぬうーーー幸せにい今飛び立つのだあーーー」。
今聞いても、ちょっとぐっと来る。
古くさいメッセージソングだとは思わない。
ガロのアルバム、拓郎のデビューアルバム「青春の詩」。
ともに直登から借りて聞いた。姉さんの持ち物だ。
オレと直登は好きな歌を折り込み風の紙に書き写した。
題して「歌のアルバム」。
そう、あの「一週間のご無沙汰でございました」、
の玉置宏の名司会で始まった、あの番組と同じタイトルだ。
そんな内に直登がフォークギターで作詞作曲を始めた。
「涙に濡れた君の瞳」と言うたわいもない歌だったが、
まだ作詞も作曲のしたことがないオレは負けたと思った。
直登の2作目の「朝の光」は素朴だけどいい感じの歌だった。
おまけに直登は自分の芸名も考え出した。
「朝野日美子」、あさのひみこがその名だった。
「朝、野原に出たら美しい子がいたよ」と言う
馬鹿馬鹿しい名の由来だが、やはり負けたと思った。
(たぶんつづく・・・)
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