2010年8月7日土曜日

静かな奇譚

 サルスベリがおかしい。

 いつもの年ならば花がたわわに咲いている。
 9月までは花の盛が続いていた。

 しかし先日花小金井駅周辺の百日紅を見たら、
 花がいつもの3分の1も無い。
 近づいて良く見ると、花が終わって沢山の実がなっていた。

 異常な猛暑だというのに、
 百日紅は秋を迎えようとしているのか。
 暦の上では今日が「立秋」である。

 「秋来ぬと目にはさやかに見えねども
 風の音にぞ驚かれぬる」藤原敏行

 残暑お見舞いの時期になると、
 毎年この歌を思い出す。

 暑いのさ中に「小さな秋」を発見する感性の鋭さ、
 「驚かれぬる」と感動を歌う率直さを
 素晴らしいと感じるし凄いなあと思う。 

 画家長谷川燐二郎の言葉。
 「何よりも大切なのは‘感動’である。
 要するに画家の定義は、
 画を描く人と言うよりも、
 絶えず外部に感動を見出し、
 絶えず自然を万物を賛美し、
 感動の生活を送る人、である」。
 (私は何度同じことを手帖に書くのだろう)。

 僕は今日も暑さの中で過ぎ去りゆく夏空を眺める。

 「現実は精巧に出来た造られた夢である」。
 長谷川燐二郎

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