2010年8月27日金曜日

文化のチカラ

 バブルが弾ける前に「メセナ」と言う名の
 企業による文化援助が多くあった。
 
 サントリーホールでクラシック音楽を聴いても、
 紀伊国屋ホールで友人の大高洋夫が主演していた
 第三舞台の「朝陽のような夕日をつれて」を観ていても
 メセナのお陰でチケットが以前より割安だった。
 
 美術展も大規模で金にものを言わせた名作展が
 目白押しだった記憶がある。
 メセナの下に協賛企業がたくさんあったのだ。
 それらのほとんどはバブル後に消えた。
 まさに泡のように消えたのだ。

 戦後の日本では他国に見られないような、
 ストーリー漫画が大人気となり、
 それらに基づいてアニメが多く創られた。
 どちらも中心にいたのは故手塚治虫氏である。
 現在では世界中の人々から、
 マンガとアニメは重要な日本文化と認知されている。

 お隣の韓国では国際美術展に力を入れているという。
 理由は営利目的でなく、文化の力で国際社会における
 名誉ある地位を得ようという目的があると聞く。

 バブルが弾けて予算を減らされた地方美術館で
 埋もれていた芸術家に光を当てる好企画が現れてきた。
 幾何学的な抽象のオノサトトシノブ。
 佐藤哲三や長谷川燐次郎もその中に入るだろう。

 かつて米国のニューディール政策は
 大恐慌のさなかに画家や様々芸儒家を保護した。
 公共事業として壁画の制作を依頼したり、
 画家に補助金を支給し作品を買い上げたのだ。
 そこに参加していた画家に、ポロックやロスコがいた。
 後のアメリカ抽象絵画黄金時代の中心人物である。

 日本人の多くが外国語を習得したとしても、
 そこで生み出され語られ受け継がれる日本文化、
 それが無くては意味が無い。
 外国の人とのコミュニケーションは手段である言語よりも
 語られる内容が重要だと思う。

 勿論それらがマンガとアニメだけでは困る。
 良いマンガやアニメは、良い文学や音楽、美術と同様に 
 優れた他ジャンルの表現を必要とする。

 文化は孤独からも生まれるが、
 孤立しては育たないのだ。
 
 「世の中は浮かれ溺れてナイル川。人生なめんなよ」。
 *TVドラマ「深夜食堂」より

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