帰った日の夕飯にクジラ汁を食べた。
地元では「ゆうごう汁(夕顔汁=冬瓜汁)」と言う。
塩鯨肉を塩抜きをして、
冬瓜、茗荷、ジャガ芋、玉葱などと煮込む。
煮干し。昆布の出汁に味噌で仕上げる。
父の得意料理であり、僕の大好物だ。
冬瓜は暑さに火照った身体を冷やし、
保存の利く塩クジラ肉で精を付ける。
夏バテを乗り切る理想的な料理で、
何よりも美味しい。
数年前、友人の加藤氏と函館に旅をした。
競馬に忙しい加藤氏と別行動で観光をした。
素晴らしい明治の洋館建築を堪能した後で
古い民家を改築したお店で昼食を採った。
そこのメニューに鯨汁があり、食べてみた。
醤油味で具も実家とは違っていたが美味しかった。
店の人に聞くと夏場の料理ではなく、
本来はお正月のご馳走だと言われた。
新潟と北海道という異なる地に受け継がれる
鯨料理の文化。日本各地にまだあることだろう。
秘密のケンミンショーで是非取り上げてもらいたいものだ。
モツ煮とホルモン焼きでお腹が膨れた僕は、
ゆうごう汁をおかわりしないで、
次の日の楽しみに取って置いた。
しかし異常なフェーン現象の暑さだった次の日朝
ゆうごう汁は腐っていた。
悪くならないように母親が、
多量の氷を入れておいたに係わらずである。
こんなことは新潟ではあまり聞いたことがない。
温暖化なのだろう。
今日のニュースでは、山形の立石寺近辺で、
本来西日本に生息するクマゼミの声が観測されたとあった。
芭蕉のあまりにも有名な句
「閑けさや岩にしみ入る蝉の声」の舞台である。
芭蕉はニイニイ蝉の声を聞いてこの句を詠んだらしい。
15日も朝から異様な暑さだった。
昼前に101歳の祖母の見舞いに
10数キロ離れた堀之内病院へ行った。
*続く
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