2010年8月22日日曜日

クジラ汁(晩夏Ⅱ)

 帰った日の夕飯にクジラ汁を食べた。
 地元では「ゆうごう汁(夕顔汁=冬瓜汁)」と言う。

 塩鯨肉を塩抜きをして、
 冬瓜、茗荷、ジャガ芋、玉葱などと煮込む。
 煮干し。昆布の出汁に味噌で仕上げる。
 父の得意料理であり、僕の大好物だ。

 冬瓜は暑さに火照った身体を冷やし、
 保存の利く塩クジラ肉で精を付ける。
 夏バテを乗り切る理想的な料理で、
 何よりも美味しい。

 数年前、友人の加藤氏と函館に旅をした。
 競馬に忙しい加藤氏と別行動で観光をした。
 素晴らしい明治の洋館建築を堪能した後で
 古い民家を改築したお店で昼食を採った。
 そこのメニューに鯨汁があり、食べてみた。

 醤油味で具も実家とは違っていたが美味しかった。
 店の人に聞くと夏場の料理ではなく、
 本来はお正月のご馳走だと言われた。

 新潟と北海道という異なる地に受け継がれる
 鯨料理の文化。日本各地にまだあることだろう。
 秘密のケンミンショーで是非取り上げてもらいたいものだ。

 モツ煮とホルモン焼きでお腹が膨れた僕は、
 ゆうごう汁をおかわりしないで、
 次の日の楽しみに取って置いた。

 しかし異常なフェーン現象の暑さだった次の日朝
 ゆうごう汁は腐っていた。
 悪くならないように母親が、
 多量の氷を入れておいたに係わらずである。
 こんなことは新潟ではあまり聞いたことがない。
 温暖化なのだろう。

 今日のニュースでは、山形の立石寺近辺で、
 本来西日本に生息するクマゼミの声が観測されたとあった。
 芭蕉のあまりにも有名な句
 「閑けさや岩にしみ入る蝉の声」の舞台である。
 芭蕉はニイニイ蝉の声を聞いてこの句を詠んだらしい。 

 15日も朝から異様な暑さだった。
 昼前に101歳の祖母の見舞いに
 10数キロ離れた堀之内病院へ行った。

 *続く 

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