2010年8月20日金曜日

晩夏Ⅰ

 涼しい朝だ。
 昨日までの猛烈な暑さが嘘のようだ。
 
 13日まで仕事で山中湖に居た。
 14日から昨日の午後まで郷里の新潟に居た。

 台風の後の新潟はフェーン現象で酷く蒸し暑かった。
 加えて老夫婦(両親)だけが生活するその家は、
 普段の空気の入れ替えが充分でなく、
 家の中には行き場のない湿気と熱気が漂っていた。

 二階の南東に位置した僕の寝室は普段使われていない。
 重く湿った暑苦しい部屋で寝た。
 クーラーを点けっ放しにしていても厭な汗をかいた。

 夕方に長岡駅に着いた。
 片貝行きのバスにはだいぶ時間があった。
 馴染みの古着屋を覗き、 
 ダメもとで居酒屋「酒小屋」へ向かった。
 お盆の時期だから休みだろうと思っていた。
 暖簾が下りている。しめた。

 「煮込みと酒をください」。そう言った。
 狭い店内にクーラーはない。
 窓も扉も開いているが、みな団扇で扇いでいる。
 酒小屋のメニューは「モツ煮込み340円」のみ。
 あとは一切なし。飲み物も酒と瓶ビール大のみ。
 50代、60代の男性が主な客。
 10人も入れば満席になるだろう。
 開店は午後4時。煮込みがなくなると閉店。
 だいたい六時過ぎ。

 平屋建ての外観も、壁の一部が剥げ落ちた店内も
 白い下着の半袖シャツの店主も完全に昭和の世界だ。
 僕はこの店に立ち寄るために
 午後五時ころに長岡駅着の新幹線に乗り込む。
 
 煮込みしかないが、客足は途切れない。
 回転率も良い。みなモツ煮一杯と酒二杯くらいで帰るからだ。
 当然煮込みは美味い。何処よりも美味しいと思う。
 だから行くチャンスがあれば必ず入る。

 蒸し暑い店内で、暖かいモツ煮と燗酒。
 「幸せとは撃ったばかりの暖かい銃」。ジョンの唄だ。
 「幸せとは食ったばかりの暖かいモツ煮」。こっちの方がいい。

 実家に帰ってから、地元の店「あおきや」で
 ホルモン焼き1000円を買う。
 カシラ、ハツ、ガツ、レバ、ヒラなどあらゆるモツが
 あおきや独特の甘辛いタレで味付けされている。
 これがビールに合う。たまらない。

 久しぶりのブログは吉田類の「居酒屋放浪記」みたいだな。
 花小金井の肉屋「だいとく」の味付けガツと
 ブラウンマッシュルームを食し、
 赤ワイン「王様の涙」を飲みながら書いた。
 
 *たぶん続く
 

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