2010年9月20日月曜日

沈黙のリズム

 新宿の末広亭。
 数年前に母と行った。
 生まれて初めて歌舞伎座で
 歌舞伎を見た次の日のことだった。

 出演予定でなかった桂歌丸が出た。
 それだけでも少し驚いたのに開口一番
 「昨日歌舞伎座で歌舞伎を見てきた」と宣うので
 さらに驚いた。

 歌丸師匠は続けて言った。
 若い時から歌舞伎を見ている、
 自分の師匠から見るように言われたと。
 お芝居の筋や演技でなく、
 お囃子や口上のリズムが大切なんだと言っていた。

 趣味でバンドセッションに参加している。
 ビートルズ研究会だ。
 そこの仲間と今年ライブをやったことはブログでも書いた。
 
 バンドで重要なのはリズムがカチッと合うこと。
 ドラムとベースのリズム律がバンドの要だが
 ギターやボーカルも合わないいけないのは当然のことだ。
 
 絵画や造形表現でもリズムが大切だ。
 ただ上手な絵と凄い絵は線や筆触のリズムが違う。
 書でも同じだと思う。

 音楽や演芸、絵画や書で
 何となくは上手いけれど面白くない表現がある。
 これはただリズムを合わせるのと
 拍を意識してリズムを刻むとの違いだと思う。
 リズムは刻まれなければならないのだ。

 それが質感を生む。リズムと質感。
 そして表現に手触りが生まれる。
 綺麗なだけの表現には手応えがないのは質感がないからだ。

 2回目の個展のタイトルを「沈黙のリズム」とした。
 150号の抽象画の題名を考えている時思いついた。
 その時は何となくなくだったが、
 今になって思うと絵画や書、文学など
 音を奏でぬ表現で優れたものには遍く沈黙のリズム」が流れている。

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