坂道を歩いていた。
左手は海。
砂浜ではなく崖になっている。
さほど険しくはないが、波が岩に砕けている。
空は抜けるように青く、
白い雲がふわりと浮かんでいた。
坂道を登り切った処には、白い灯台がある。
灯台を目指して歩いていた筈だが、
右手に見える花園に目を奪われている内に見えなくなった。
ここは何処なのか、にわかには解らない。
季節は夏で、どうやら北の島らしい。
樺太だろうか・・・。
そんなことを思案しながら、さらに先を行く。
まばらに木造平屋建ての建物が見える。
いずれも、北の地に相応しい造りだ。
一人きりだが寂しくはない。
誰かに出会う予感もない。
ただしんとした心持ちで歩いている。
不安も畏れもない、不思議な心持ち。
振り返ると、
さっき見えなくなった
白い灯台が見えた。
*夢シリーズ第3話
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