2010年5月6日木曜日

端午の節句

 メジロを見たのは久しぶりだった。

 ウグイス色の小さな体に大きな白目に大きな黒目。 
 実家のお墓のある裏山への登り口の
 満開の八重桜に止まっていた。
 頭の上で、「ホーホケキョ」とウグイスの声がした。

 3日前のことだ。
 新潟の春は東京よりも2,3週間遅い。 
 ソメイヨシノは終わっていたが、
 しだれ桜、八重桜、大島桜、山桜、桃などが楽しめた。
 新緑も始まったばかりの萌葱色をしていた。

 あくる朝、自宅の庭に愛らしい小鳥が居た。
 オレンジがかった茶色のボディと白黒の頭部。
 母に聞くと「ヤマガラ」だと言う。

 ゴールデンウイークに実家に帰るのは久しぶりだった。
 祖母の三十三周忌の法要があったためだ。
 
 大がかりな法要は田舎でも減っていると思う。
 お金も手間も掛かるからだ。
 法要は宗教的な意味合いは勿論だが、
 普段はめったに会わないような親族が結集する意味合いがある。
 こちらの方の意味が大きいかも知れない。
 しかし僕より若い世代は、そんな場に集まろうとはしない。
 親戚同士のつきあいも若い世代にはない。

 僕の実家で行われる法事もこれが最後だろうと感じてた。
 参加される親戚も昔の半分近くまで減っている。

 子どもの頃、法事が何だが解らないが、
 たくさんの顔も知らない親戚が大勢集まって、
 それだけで興奮したものだった。

 県外の親戚は泊まりなので、食事の準備もおおわらわだった。
 後からその親戚の多くは亡くなった祖父の兄弟だと知った。

 僕の曾祖父までは、代々宮大工だった。
 祖父と三人の男兄弟はみな建築家になった。

 自分も年を取ったなと思う。
 祖父や祖母の自分の知らない話を聞くのが楽しい。
 そして見たことのない曾祖父伝八(屋号)や
 その前の代の伝八の話に興味を持っているが、
 50歳で若い芸者と出奔した曾祖父を知る人は居なくなった。

 家には宮大工の棟梁として記した建築図面が残るのみである。
 
 実家近所のよその庭では、
 大きな鯉のぼりが風を受けて、気持ちよさそうに泳いでいた。

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