まだ寝ていられるのに、
起きて読みかけの本を読む。
辺りは静かで、
時折少し離れた線路から電車の音が聞こえる。
雨でも、曇りでも構わないけれど、
晴れていて暑くなければなおのこと良い。
今、読みかけの本はアーヴィングの「ガープの世界」。
若桑みどりの「絵画を読むーイコノロジー入門ー」。
実家で見つけた上山春平の「日本の思想ー土着と欧化の系譜ー」。
雑誌ペンの「キリスト教とは何か」。
ニーチェ「道徳の系譜」。などなど。
寝る前の本は悪夢の原因になることを最近知った。
朝ならば何を読んでも心配はない。
毎朝、西武線に乗るとメールの後本を読む。
10分か20分読むと、ほとんど寝てしまう。
本に限らず、朝型の僕は大抵のことが
朝やるのが望ましい。
夜に描いた作品は朝の光で眺めると、
出来不出来がよりはっきりと分かるように感じる。
ユーミンの名曲「雨の街を」。
「いつか眠い眼を覚まし、こんな朝が来てたら。
どこまでも遠いところへ歩いて行けそうよ」。
雨上がりの朝のイメージが良い。
同じくユーミンの「朝陽の中で微笑んで」。
「朝陽の中で微笑んで。銀のベールの向こうから。
夜明けの霧が溶け始め、ざわめく街が夢を誘う」。
ハイファイセットのバージョンが好きだった。
小説も歌も、細部は具体的でありながら
寓意性に富んだものが好きだ。
絵画でも作品の中に入り込むことはある。
その場合作品の中に入った自分の後ろ姿を見ている自分が居る。
しかし音楽や文学の場合は入り込んだ世界とより一体化する。
夢の中と同じなので、自分の姿は見えない。
それが楽しく、同時にちょっと厭だ。
夜に、お酒を飲みながら音楽を聴き、小説を読むのもいい。
けれど、空っぽな心と体でする朝の読書が好きだ。
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