2010年5月29日土曜日

ハートの女王

 薔薇の季節になっていた。

 一昨日休暇を取り、近所を散歩をした。
 晴れているけど雲が多いので日陰が適度に出来る。
 湿り気の少ない風が心地よかった。

 住宅地に入ると、あちこちの庭に満開の薔薇の花。
 色も種類も異なっており、楽しめた。
 薔薇好きが多いのに驚かされる。 

 「不思議の国のアリス」に出てくる
 ハートの女王の叫び声が聞こえてきそうだ。
 「首を刎ねろ!」

 細い道をすり抜けて多摩川へ向かって歩く。
 古くからの農家だった家が何軒もある。
 広い敷地に昔からの蔵。
 松や楓の大きな木々。

 川の少し手前が小高い丘のようになっている。
 その上から多摩川と秋川の山並みを眺める。
 
 のんびりとした休日の、適度な散歩のお陰だろうか
 次の日には、何日も続いた首の痛みが消えていた。

 ハートの女王が、僕の首を刎ねる代わりに
 僕の首にまとわりついていた、
 目に見えない小さな悪魔の首を刎ねてくれたみたいだ。
  
 「花発(ひら)けば風雨多く
 人生 別離足(おお)し」唐詩選

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