2011年4月13日水曜日

建築家の孫

 三つ目の家を作った。
 とは言っても50分の1サイズの模型の話である。

 偉そうなことを書いても、
 絵だけでは食べていけないこの僕は
 主な収入を絵やデザインを教えることで賄っている。
 家造りのデザイン実習はもう10年以上も教えている。

 三つ目の家の二階には茶室がある。
 ベランダからも入れるが、空中廊下を通り
 にじり口からが正式な入り方だ。

 一階の中心には和室がある。
 一階も二階も回廊の構造になっており、
 一階は裏庭のベランダを挟んでぐるりと回れる。
 二階はやはりベランダと空中廊下で一周できる。
 屋根裏部屋には二階のベランダからの階段と
 二階寝室から梯子階段の二ヶ所から昇れる。
 この家には幼い日の親戚の家が参考になっている。

 1作目の家は屋上を含む3つのベランダが特徴の家。
 2作目の家は一階に独立したアトリエがある家。
 家造りは自分が何処に焦点を合わせるかで、
 デザインがまるで違ってくる。

 僕の祖父は一級建築士だった。
 最近整理した実家離れの小屋から、
 学生時代の几帳面なノートや、
 佐渡病院の建設に関わったいた頃の手紙が見つかった。

 モダニズムの建築家に憧れていた。
 けれど今好きなのは、藤森照信の建築だ。
 屋根にニラを植えた赤瀬川源平邸「ニラハウス」や
 自らのために建てたツリーハウス型の茶室「高過庵」
 などで知られており、長年東大で建築史を教えていた異色である。

 彼にもモダニズムの基本はあるだろうし、
 ポストモダンも考えているだろう。
 しかし彼の建築からは、近代建築が忘れた何かがある。

 今年も4作目の家模型を作るだろう。
 でも模型作りとして挑戦したいのは、
 かつて僕が住んでいた、今はない実家の家だ。
 
 祖父義一が改築したあの家の模型作りがしてみたい。

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