2011年4月16日土曜日

町で一番の美女

 思い出したようにチャールズ・ブコウスキーが読みたくなる。
 アメリカ西海岸で活躍したサブカルチャー文学の旗手である。

 内容は、お酒の事、小説や詩など文学のこと、
 競馬ばどギャンブルの事、女性との秘め事などなどだ。

 放蕩の限りを尽くしているのが却って爽快に感じる。
 実際の彼は小説ほど自堕落ではなかったそうだ。
 当たり前かもしれない。
 放蕩しか尽くして無かったら作品は書けない。

 ミッキー・ロークとフェイ・ダイナウェイが出演した映画
 「バー・フライ」の脚本をブコウスキーが担当していた。
 それで彼を知ったのだと思う。

 ほとんどホームレスの彼ら二人が、
 なけなしの金でバーで飲み、出会う。
 親しみや愛情も芽生えるが、
 憎悪や暴力も描かれていた。

 小説「女たち」。
 何度か読みかえした彼の長編で代表作。
 彼の分身ヘンリー・チナスキーが主人公。
 サブカルチャーの旗手として有名になった彼が
 「詩の朗読会」を開く度に新しい女性と出会う。

 詩の朗読会の前座がロックのライブだったり、
 ライブより朗読会が盛り上がった等の記述には
 正直に云って「ありえない」感じがした。

 今は日本でも有名俳優・女優・アナウンサーなどによる
 朗読会や朗読劇が認知されてきた。
 文学者による朗読会も昔に比べれば増えたと思う。
 詩人谷川俊太郎氏が米国のそれを真似て
 「詩のボクシング」を始め、
 一時期、教育テレビでの放映をよく見ていたものだ。

 山頭火の日記を読み返している。
 山頭火は句を詠み、酒から離れられず(アル中だと書いてある)
 放浪を繰り返した。
 日記には行乞で訪れた町や村の様子、宿の様子は食事、同宿の客、
 主人や女将さん、お手洗いののことまで子細である。
 そしてお酒のこと、その日に書いた句が書かれる。

 ブコウスキーと山頭火。
 趣の異なる日米の無頼派詩人。
 日常の檻から逃れられない臆病者は
 彼らの文章で救われる。

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