2011年4月21日木曜日

春の祭典

 春はわさわさする。
 春はそわそわする。

 そして、春はぼわあーーとする。
 でも春は慌ただしく、駆け足で過ぎ去ろうとする。

 春の尻尾を捕まえようと
 あちこちキョロキョロしている内に
 春はあちら側へ向かってしまう。

 花粉症が辛い。
 今年は当たり年だ。
 ウキウキの春がどんよりの春に変わってしまう。

 それでも今年の桜は美しかった。
 去年より、今までより白く可憐に見えた。
 桜が終わって、新緑の季節。

 一年中で一番の季節だと思う。
 日本の新緑は世界一だと、
 何の根拠もなく思ってしまう。

 本当は世界一でも世界100位でも構わない。
 目の前に現れた、新しい生命の息吹。
 まるで奇跡のように思われる。
 「緑あれ!」と誰かが叫んで、
 一斉に現れたような、そんな気さえする。

 「一日の憂いは一日にて足れり」
 山頭火の日記にあった。
 キリストの言葉らしい。良い言葉だ。

 新緑の魔法は長くは続かない。
 一週間か10日もすれば、
 あの淡く繊細は若葉色は、重く強い緑に変わる。
 非日常が日常に変わる。
 春の祭典は終わり、初夏を迎える。

 それでいいのである。

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