「何故だろう?」。
「もう少し大人になればわかるさ」。
彼は空想の死を希望していた。
つまり死にたい時に死に
そして何度も復活したいと望んだのだ。
それはおそらく生があまりにも重すぎた故でもなく
生を実体あるものとしてとらえる能力に
欠けていたためと思われる。
実際彼はその人生のほとんどを
幻想の中で費やしたと言ってもいい位だった。
ただ本人にはどこまでが現実で
どこまでが幻想なのか
はっきり区別をすることが難しかった。
現実の中で「これは長い夢を見ているのだ」
と感じることが度々だった。
彼は時に異教の神に祈った。
神々の中で彼に応える者は居なかった。
(1990年制作)
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