2010年7月4日日曜日

アフリカの星

 雑誌ビッグイシューで、南アフリカ共和国前大統領
 ネルソン・マンデラ氏の特集をしていた。

 南アフリカ共和国では、
 現在サッカーのワールドカップが開催されている。

 僕も日本戦を含め何試合か見ている。
 試合自体は楽しめるけれど、
 一体感を強調する報道は好きになれない。
 道徳を声高に叫ぶ人に似て、
 選手はともかく、
 外野からの一体感うんぬんは押しつけだと思う。

 でも、民族対立が激しい南アフリカ共和国の地で、
 民族融合を唱えることは、一体感の強要とは訳が違う。

 どんな人間にも欠点はあるはずだ。
 ジョン・レノンは偉大なミュージシャンだったが、
 彼自身が答えているように欠点も多い人間だった。

 マンデラ氏のことを断片的にしか知らないが、
 彼が27年にも及ぶ投獄の後で、
 敵対していた白人に対して報復をせずに、
 大統領として国をまとめアフリカを再建しようと努めたこと、
 これは立派だと思う。

 2年前発行の別なビッグイシューを手に入れたら、
 そこでもアフリカ文化についての特集があった。
 驚いたことに、対立する民族が第三者も交えて
 対話によって紛争を回避する智恵が
 元々彼の地にはあったと書かれてあった。

 マンデラ氏は、近代化で失われつつあった
 アフリカ文化の智恵を復活させたのかも知れない。
 
 西洋人がアフリカ文化を取り入れた最初の例は、
 ピカソが始めた「キュビスム(立体派)」によってだろう。

 それでも西洋は「暗黒のアフリカ」などと読んで
 彼の地を蔑んだ。
 「暗黒のアフリカ」は「暗黒の中世」と同じだ。
 近代化されていないものは
 全て「劣ったもの」として考える思想だ。

 近代主義は「理性」を重視し「狂気」を排除する。
 フーコーは近代主義が「精神病院」を生んだと書いた。
 アフリカのある地域では
 狂気を全ての人間が共有する本質と捉える伝統が
 いまでも残っていると言う。

 ぼくはアフリカについてほとんど何も知らない。
 けれど、多様なアフリカ文化の一端に触れたこと、
 「近代主義」の考え方とは違う思想の方法を知った事
 このことは良かったと思う。

 ワールドカップを見て、アフリカの選手の肉体が
 他の大陸の選手よりも逞しく立派に思えた。
 これは偏見や、差別に基づく考えなのだろうか。
 よく分からないが、そうではないと思いたい。

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