昨日見た、日曜美術館。
「魯山人」を特集していた。
北大路魯山人は、今や漫画「美味しんぼ」の
海原雄山のモデルとして知られているのかも知れない。
書家、篆刻家にして、陶芸家。画家としても知られる。
そして日本料理を今の形に創り上げた美食家の一人だ。
傲岸不遜で口が悪く、敵が多かった。
あまり近づきたくないタイプの人間に思える。
陶芸家を名乗りながら、轆轤などは職人に轢かせ、
自らは削りなどの仕上げや、絵付けのみを行った場合も多く、
職人的な陶芸家でなく、プロデューサー的だったとも言われる。
それでも魯山人の陶芸は、
一目で魯山人だと感じさせる造形力がある。
またどんな陶芸家にも真似できない自在さと、
趣味の高さ、気品がある。
魯山人について著書があり、番組に出演していた
林屋晴三氏はこう語った。
「魯山人は陶芸の技術については、アマチュアである。
しかし、偉大なるアマチュアはプロフッショナルを
凌駕するものである」と。良い言葉だ。
英国の美術史家ケネス・クラーク氏は
19世紀にコンスタブルやターナーが現れるまで、
英国美術は大したものを生み出していないと語っている。
ただし、建築を除いてと。
しかし、英国における偉大な住宅建築は、
みなアマチュアに依るものらしい。
魯山人は何よりも古陶を手本にしていた。
桃山時代の美をことさら愛し、意識していた。
魯山人の斬新さは一重に「温故知新」と言うことだろう。
林屋氏によれば、魯山人は備前が最も優れていると言う。
その通りなのかも知れない。
けれど、焼いて割れてしまった備前焼きや志野焼きを
接いだり、銀彩などで甦らした魯山人が好きだ。
「できの悪い焼き物ほど可愛い」、そう言っていた。
「できの悪いオレほど可愛い」よしい。
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