2010年2月25日木曜日

バロックの時代

 カラヴァッジオ。
 バロックの絵画は彼によって形作られた。
 そのことをボルゲーゼ美術館展で思い知らされた。

カラヴァジオの時代の画家達が
 みな、暗い背景に強烈な光の前景を描いた。
 レンブラントや画家の王と呼ばれるヴェラスケスにも
 その影響がありありと伺える。

 けれども実を言うと、バロックというものが好きなれない。
 何だか大袈裟でわざとらしい。
 よく考えれば、ルネッサンスの絵画・美術だって
 相当にわざとらしい。ダヴィンチ、ミケランジェロもそうだ。
 
 しかし、ルネッサンスの美術はわざとらしくても大仰ではない。
 そこにある種の落ち着きや静寂がある。
 しかしバロックの芸術は、ルーベンスが殊にそうだが
 化粧の濃い感じが厭だ。服装もけばけばしい。

 自慢じゃないが、僕は花柄のシャツを何枚か持っている。
 60年代、70年代のファッションが好きだ。
 華やかな、女性的な美は大好きだ。じゃあ、何故なのか。

 それはルネッサンスのファッションだって、華やかだけど
 けばけばしいものではない、ということだろうか。
 カラヴァジオを認めるが、好きにはなれない。

 しかし、レンブラント、ヴェラスケスは好きだ。
 ヴェラスケスの傑作「女官たち」を
 プラド美術館で見た時の驚きは、今でも忘れられない。
 実物を見るまでは如何ほどものかと訝しく思っていたのにだ。
 しかし実際には、縦3mほどの巨大な作品に圧倒されたのだ。
 それは大きさのためでなく、内容と画力に依ってである。

 バロック美術はカソリック(旧教)がプロテスタント(新教)に
 対抗するためのプロバガンダとして始まったとも言われている。
 それが王権の拡大と共に、宮廷美術と結びついた。

 そして、それはやがてロココ美術に繋がっていくのだ。 

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