カラヴァッジオ。
バロックの絵画は彼によって形作られた。
そのことをボルゲーゼ美術館展で思い知らされた。
カラヴァジオの時代の画家達が
みな、暗い背景に強烈な光の前景を描いた。
レンブラントや画家の王と呼ばれるヴェラスケスにも
その影響がありありと伺える。
けれども実を言うと、バロックというものが好きなれない。
何だか大袈裟でわざとらしい。
よく考えれば、ルネッサンスの絵画・美術だって
相当にわざとらしい。ダヴィンチ、ミケランジェロもそうだ。
しかし、ルネッサンスの美術はわざとらしくても大仰ではない。
そこにある種の落ち着きや静寂がある。
しかしバロックの芸術は、ルーベンスが殊にそうだが
化粧の濃い感じが厭だ。服装もけばけばしい。
自慢じゃないが、僕は花柄のシャツを何枚か持っている。
60年代、70年代のファッションが好きだ。
華やかな、女性的な美は大好きだ。じゃあ、何故なのか。
それはルネッサンスのファッションだって、華やかだけど
けばけばしいものではない、ということだろうか。
カラヴァジオを認めるが、好きにはなれない。
しかし、レンブラント、ヴェラスケスは好きだ。
ヴェラスケスの傑作「女官たち」を
プラド美術館で見た時の驚きは、今でも忘れられない。
実物を見るまでは如何ほどものかと訝しく思っていたのにだ。
しかし実際には、縦3mほどの巨大な作品に圧倒されたのだ。
それは大きさのためでなく、内容と画力に依ってである。
バロック美術はカソリック(旧教)がプロテスタント(新教)に
対抗するためのプロバガンダとして始まったとも言われている。
それが王権の拡大と共に、宮廷美術と結びついた。
そして、それはやがてロココ美術に繋がっていくのだ。
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