2010年2月10日水曜日

色彩の悪魔

 家電は昔「白もの」と言われたらしい。
 (今も言うのかもしれない)。
 冷蔵庫、炊飯器、洗濯機などみな白かった。
 今でもエアコンを始め、白が主流だ。

 最近になって少しずつ変わってきた。
 パナソニックは色を全面に押し出した
 Night Color シリーズを宣伝している。

 車も長らく白が主流だ。
 それから新幹線。電車の色彩は何とかならないかな。
 関西の阪急電鉄のような大人の色が増えるといいな。
 名前を失念したが、以前「情熱大陸」で、
 車両デザインの専門家を見た。
 彼のデザインした車両は主に九州で活躍している。
 その妥協のないデザインはどれを見ても素晴らしい。

 英国を取り立ててデザイン大国とは感じないが、
 テニスのウインブルドンを見ていると、
 センターコートのモスグリーンの色彩に伝統とセンスを感じる。 
 あと雑誌で見た英国の郵便ポスト。
 色とデザインが時代毎に違って楽しい。
 多様な文化と歴史を持つ我が国にデザインは、
 何故か多様性を嫌っているように感じる。
 これはデザイナーの責任ということもるが、
 それを受容する地域や会社、一般市民の感性の問題でもある。

 古代色彩は権威であり、重要な意味を担っていた。
 中世、近世においても似たようなものだったろう。
 大相撲を見ると、土俵の上に吊された屋根のそれぞれの角に
 東西南北を示す青、白、赤、黒の房が下げられている。
 恥ずかしながら、それに気付いたのが何年前のことだったか。

 19世紀のヨーロッパ、特にパリで浮世絵のブームが起きた。
 印象派の画家で影響を受けなかった者は、ほとんど居ない。
 斬新な構図や、人物や風景の平面的な表し方もだが、
 やはり、色彩に驚いたようだ。

 ゴッホなど、日本に行きたいと本気で考えていたようだ。
 日本に行きさえすれば、日本人のような色彩家になれると、
 そう信じていた様子である。
 
 色は面白く、楽しい。そしてとても難しく、悩ましい。

 画家としての僕は、日々「色彩の悪魔」と戯れ、
 そして格闘している。

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