2009年12月23日水曜日

冬来たりなば

 新潟の大雪は峠を越したらしい。

 郷里の友人にメールをして、返事を貰った。
 雪景色の写真、雪かきでぎっくり腰になった話、
 同級会の忘年会の盛り上がりの話など。

 川端康成の「雪国」。
 数年前に読んだ。あまりに有名な冒頭部分。
 「国境の長いトンネルを越えるとそこは雪国だった」。
 新潟の人から見れば、話は逆である。
 「雪に閉ざされた越後から、国境の長いトンネルを越えると、
 そこは快晴の世界だった」と。

 どちらからトンネルを通っても、
 雪深い季節にはそのコントラストに驚く。分かっていてもだ。
 三国峠を境に、日本海側と太平洋側に分かれる。
 強い寒気が日本海側を襲うと、
 時に一晩に1mを超える猛烈な豪雪となる。

 昭和38年の所謂「38豪雪」。
 当時の写真(勿論白黒だ)を持っている。
 と言うより、あの時のことは記憶の片隅にある。
 2階まで完全に家が埋まったのは、あの時が最初で最後だったと思う。
 積雪は4mを超えていただろう。
 自衛隊が雪上車で救援に来た。
 交通が完全に遮断されたからだ。

 次の年に「新潟地震」。豪雪と大地震は関係があるのかないのか。
 5年前の「中越地震」次の年が10年以上なかった豪雪だった。
 しかし「中越沖地震」の前後は大雪ではなかった。

 雪国を逃げ出した人間だからか、「雪景色」に弱い。
 吉幾三の「雪国」、千昌夫の「望郷酒場」。
 雪国の映像をバックに聞くと堪らない。
 ついカラオケでリクエストしてしまう。こんな寒い季節は。

 昨日は冬至だった。
 これから一日一日と春へと近づく。
 桜の硬い蕾は、日ごとにふくらんでいく。

 「埋火やついには煮ゆる鍋のもの」蕪村

0 件のコメント:

コメントを投稿