2010年1月5日火曜日

白い冬

 「あなたを愛した、秋はもう去って。
 感じるものは、哀しい白い冬」。
 ふきのとうの名曲だ。

 何年振りか分からない雪下ろしは、ちょっと怖かった。
 昔は(たぶん今でも)雪下ろしで何人かの人が亡くなる。
 屋根から落ちるのだ。
 
 周りの道路に消雪パイプが入り、除雪が当たり前になった。
 昔なら、たとえ二階の屋根から落ちたとしても、 
 まず怪我さえしなかっただろう。
 それでも亡くなる人はいた。雪を舐めてはいけない。

 信じられないかもしれないが、中学生の時三階の窓から
 遊びで飛び降りていた同級生がいた。
 3m近い積雪のお陰で、全く怪我はない。
 (ただし、下の地形が解らないと危険。よい子は真似をしない事)

 今は除雪のお陰で、道路はアスファルトがむき出しだ。
 二階の屋根から落ちたら怖い。一階の屋根でも3mを超える。

 小学生の頃から、大屋根(二階の屋根のこと)に昇ってた。
 大人に混じって、雪下ろしをした。
 雪はくっついて庇や、洞を作る。洞は天然の落とし穴になる。
 冬山登山をする人なら分かるはずだ。洞は恐ろしい。

 一晩で1m以上降る時がある、地元では「ドカ雪」と呼ぶ。
 ドカ雪が二日続くと、屋根の雪が2m近くになる。
 いくら雪国の家が頑丈でも危ない。雪はもの凄く重い。
 東京の家なら一発で潰れてしまうだろう。

 自分の身長よりも高い雪を掘り、そして下ろすのだ。
 昔は「こすき」という、木のシャベルがあった。
 蝋を塗って雪が付かないようにする。
 軽いので、疲れにくい。カンジキも履く。

 屋根の周り、つまり周辺から掘り始める。
 屋根の周りは庇が出来ていて危ない。
 屋根の端なので、滑りやすい。 
 けれど下ろすのは楽な場所なのだ。当たり前だけど。

 屋根の周りから下ろすのは、
 屋根にかかる重さのバランスを考えてのことだ。
 危険だが下ろし易い周辺を先に攻める。作業は一気に進む。
 
 屋根の天辺になると辛い。
 田舎の家は、都会の家よりおおむね大きい。
 天辺から屋根の端まで10メートル強はある。
 それを投げ飛ばすのはきつい。

 昔は、トヨと呼ばれる木製の滑り台のような道具があった。
 やはり表面には蝋を塗る。
 こうすると屋根の傾斜でトヨに乗った雪は屋根の下に落ちる。
 今ではトヨを使って家はまずないだろう。
 豪雪が当たり前だった時代の遺物である。

 一度だけ小学校の体育館の雪下ろしをしたことがある。
 豪雪の昔は、町内会の班長が学校の雪下ろし当番になった。
 高さ10m近く。天辺は10mを超える。
 日当が少し出る。今はちょっと勘弁してもらいたいな。
 (つづく)

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