2010年1月7日木曜日

思ひ出

 「学校には行けなかった」。そうウソをついた。
 「そうか・・・。じゃあ屋根の雪下ろしをしろ」と祖母。
 「・・・・・・・・」オレ。

 観念して長靴の上に(下に)カンジキを履く。
 自分の部屋の脇の小屋根に大屋根に上がる鉄製の梯子がある。
 雪は自分の背丈ほどもある。

 掘っても掘っても雪は山のようにある。
 「学校に行っていれば良かった・・」。後の祭である。
 しかもほとんど吹雪いてくる。空は昼間なのに一面鉛色の雲。
 顔に、横殴りの風が雪を打ち付ける。イテェ~。
 
 手を休めて空を見上げる。
 ほんの一瞬、厚い雲が強い風に途切れて、青空が顔を覗かせる。
 青空を見たのは一週間振りだった。(本当だよ)。

 昼近くまで大屋根を掘り続ける。
 2時間以上やっても半分も終わらない。
 昼食を終えて午後も雪下ろし。トホホ・・・・。
 
 孤独な作業を続けていると、道の方から声が聞こえた。
 「ひろしーーっ!何やってがあ~~~」。
 中学まで同級生だった真由美さんが手を振っている。
 玲子さんも一緒だ。
 「雪下ろしに決まってんねか~。オメらこそ何で帰ってるがれ」。
 「大雪らんだ、午後から休校になったが」。「いいの~」。
 小千谷市内の高校は午後休校か・・・。オラは雪下ろし・・。

 あれから、うん十年が過ぎた。
 久しぶりの雪下ろしだが、やっている内にコツを取り戻した。
 身体が覚えているんだな。

 考えてみれば、冬の間の雪掘りは毎日の作業だった。
 学校でも掃除の時間は雪消し作業。
 遊びでやるスキーも、裏山にゲレンデ作りからやった。
 勿論リフトなんか無い。自力で昇って、スキーで降りる。
 かまくら作り、雪合戦、みな全身運動だ。
 身体が鍛えられて当然だ。
 おまけにある種の忍耐力や諦念が身に付く。
 いいとか悪いとかではなくて。

 ドラマ「深夜食堂」のオープニング曲。
 鈴木常吉の「思ひ出」。素晴らしい曲だ。
 是非聞いてみて下さい。
 (つづくかもしんねーよ)

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