東京へ来て驚いたこと。
それは冬の富士山だ。
浪人していた頃、東村山に住んでいた。
西武線に乗った時、ふいに富士が見えた。
凄い!ありがたい。手を合わせたくなる。
「富士には、月見草がよく似合う」か。
太宰、よく言った。おれには富士は富士だけでいいけど。
学生の頃、太宰を読みながら、中島みゆきを聞いた。
暗い。すすんで暗い道へ進んだのだ。
大学3年かな。プチ引きこもりをした。
引きこもりなんて言葉が無い頃だ。
ほんの何日か極力アパートにいた。
中島みゆきの新しいアルバム「生きていてもいいですか」
こればかりを繰り返し聞いていた。
大学の同じ少林寺拳法部の友人が4人訪ねてきた。
中島みゆきを流していたら、武藤くんが言った。
「よしい、これ暗いから止めてくんない?」
中島みゆきは唄ってた。
「エレーーーン、生きていてもいいですかとー」。
あーー、オレは暗くて重いんだと、漸く気づいた。
やっと、ラジカセのストップを押した。
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