2009年11月11日水曜日

柔らかい月

 東京へ来て驚いたこと。
 それは冬の富士山だ。

 浪人していた頃、東村山に住んでいた。
 西武線に乗った時、ふいに富士が見えた。 
 凄い!ありがたい。手を合わせたくなる。

 「富士には、月見草がよく似合う」か。
 太宰、よく言った。おれには富士は富士だけでいいけど。
 学生の頃、太宰を読みながら、中島みゆきを聞いた。
 暗い。すすんで暗い道へ進んだのだ。

 大学3年かな。プチ引きこもりをした。
 引きこもりなんて言葉が無い頃だ。
 ほんの何日か極力アパートにいた。

 中島みゆきの新しいアルバム「生きていてもいいですか」
 こればかりを繰り返し聞いていた。
 大学の同じ少林寺拳法部の友人が4人訪ねてきた。

 中島みゆきを流していたら、武藤くんが言った。
 「よしい、これ暗いから止めてくんない?」
 中島みゆきは唄ってた。
 「エレーーーン、生きていてもいいですかとー」。
 あーー、オレは暗くて重いんだと、漸く気づいた。
 やっと、ラジカセのストップを押した。

0 件のコメント:

コメントを投稿