ジャクソン・ポロックはアルコール中毒だった。
名作「ラベンダーミスト」や「秋のリズム」を
描いている頃は、禁酒に成功していた頃だ。
ポロックの伝記映画「ポロック・愛のアトリエ」
でもそれが描かれていた。
ずっと禁酒を貫いていた彼が、制作風景の撮影のために
野外で絵を描く。
慣れない撮影、寒さのためにバーボンに手を伸ばす。
元のアル中に逆戻りしてしまう。
自分で制作していて、絵の具が余る時がある。
余った絵の具でポアリング(撒き散らし)を試みる。
絵の具の粘性の違い、溶かす水の量や、
滴らせ方撒き散らし方に依って表情が変わる。
抽象的な表現は、対象としてのイメージ持たない分、
表現行為に没頭出来る利点がある。
しかし、逆に強い意志と作品の全体像を持たないと
ただの造形遊びに陥ってしまう。
最初の抽象画家の一人、ピエト・モンドリアンは
キリスト教の持つ絶対的で厳格な神の世界を 、
抽象表現で表したと言われている。
抽象の方が普遍性を表し易いからだ。
米国の優れた抽象表現主義の画家、マーク・ロスコ、
バーネット・ニューマンはともにユダヤ人だった。
知っての通り、ユダヤ教では神の姿を具象的には表さない。
ピカソが完全抽象の入り口に、歴史上最も早く立ちながら、
そこへと向かわなかったのは、彼の中にカソリック的な
多神教的の素地があったからではないだろうか。
(ピカソ自身は無神論的な態度を表明しているが)
ポロックは大恐慌の時代の画家だった。
多くの芸術家が退廃的になり、多くがアル中だったと聞く。
僕は自分がアルコール中毒でないことを確認するために
週に2,3度お酒を抜く。
「酔のさめかけの星がでてゐる」放哉
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