2009年11月25日水曜日

小屋の力

 祖父は建築家だった。
 曾祖父より前は、何代かか続いた宮大工だった。
 
 昔の家。
 近代化や高度成長で、増改築を繰り返した家が多かった。
 小千谷市片貝の実家。典型的な日本家屋に、
 祖父が洋風の建築事務所を増築。二階まで吹き抜けの部屋だった。
 階段は表階段と裏階段の二つあった。
 表階段の上から、建築事務所の部屋を見下ろすことが出来た。

 北魚沼の母方の祖母の家。長岡市深沢町の親戚「筆や」の家。
 友人の家。どれも個性的でユニークだった。
 
 実家の片貝町の裏山の畑に行くと、手製の作業小屋があちこちにある。
 あり合わせの材料で作られた小屋は大きさも、間取りも
 個性がはっきり見て取れた。

 「小屋の力」と言う分厚い本。
 これには世界中の小屋と言う小屋が写真と文で紹介されている。
 フィンランドの海岸沿いにある、休暇小屋。
 アメリカで当時流行りだしたツリーハウスは、少年の夢だと思った。
 そして、巻末にはこれでもか、これでもかと続く作業小屋。

 日本国中の作業小屋が、山の中に海辺に畑の中、田んぼの中街中に
 あらゆる処に点在し、それらが写真で収められている。
 美しい。見飽きない。規格品でないことの美しさだろうか。

 今でも建築に関心があり、本を読んだり展覧会にも出掛ける。
 コルビジェ、ジョンソン、ライト、リートフェルト、ガウディに
 丹下健三、安藤忠雄ら近代建築の名匠はいずれも素晴らしい。

 けれど、それはそれとして無名の小屋にも確かに美しさ面白さがある。
 僕も自分の力で自分の小屋を建ててみたい。
 それは究極の夏休みの工作になるだろう。
 

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