2009年10月29日木曜日

私のお気に入り

 ジャズを聞くようになったのは30歳頃からだろうか。
 
 それまでは食わず嫌いだった。
 同じ職場にいたI氏がそれを治してくれた。
 ビル・エヴァンス、セロニアス・モンクに始まって
 サラ・ヴォーン、マイルス・デイビス。
 「だんだん、サックスが良いと思うようになりますよ」
 言われた通りだった。

 チャーリー・パーカーにジョン・コルトレーン。
 クイント・イーストウッド監督の映画「バード」も観た。
 チャーリー・パーカーの伝記映画である。
 NHKで放送した、「ジャズの歴史」。たぶん英BBCの
 制作だったと思う。いい番組だった。

 村上龍が、ジャクソン・ポロックの画集に解説を書いていて
 コルトレーンとの共通点を指摘していた。
 彼らの共通の特徴は「埋め尽くし」だと。 
 上手いこと言うなと感心した。

 破滅型の天才という点も共通している。
 コルトレーンはドラッグ中毒、ポロックはアル中だった。
 コルトレーン、ジャニス・ジョップリン、ジミ・ヘンドリックス。
 みんな身を削るような音を創り出して、早逝した。
 良いも悪いもそういう生き方しか出来なかったのだろうと思う。
 ポロック、ゴッホもそうだ。

 セザンヌやモネは老齢まで生きながらえて、
 その作品は益々輝きを増した。
 普通は晩年に作品の質が落ちる。ピカソも例外ではない。
 技術が衰えるのでなく、制作の動機が減退するからだろう。
 
 酔いどれの無頼派の画家、長谷川利行は
 「芸術は人生に値するか」に対して
 「人生は芸術に値するか」と言ったとか。

 コルトレーンの「私のお気に入り」はいつ聞いてもいい。
 ただし仕事中だと仕事を止めたくなってしまうけれど。

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