かまやつひろしの「どうにかなるさ」。
好きな曲だ。中一の時初めて買ったレコードかも知れない。
よく考えてみると、日本の歌には男が去っていく歌が結構ある。
「どうにかなるさ」チューリップ「心の旅」岡林「流れ者」
マチャアキ「さらば恋人」ジュリー「サムライ」。
みな男が勝手に去っていくストーリーだ。
ビートルズや他の洋楽ではあまり見られない気がする。
たいていは「なぜ僕を捨てたの?」とか「行かないでくれ」だ。
せいぜい「いい加減にしないと、オレは行っちゃうぜ」くらいだ。
日本の男が西洋の男より強いからか。違うな。
逆じゃないか。歌にはその国や地域の文化の欲望が現れる。
欲望は普通実現できない願望が現れる。
勿論、女を振る男もいるし、その逆もある。
けれど、女を振り切ってさすらいの旅に出たことのある男を
僕は知らない。聞いたこともない。
でも僕はこれらの歌がみな好きだ。
やはり憧れが込められているからだろうか。
1980年代に書かれた村上龍、坂本龍一と毎回違うゲストに
よる鼎談がまとめられた本「EV.Cafe」に日本の歌謡曲の歌詞
の酷さが書かれていた。
知り合いの日本史の先生が酔うとよく古い歌謡曲を歌ってた。
彼がこう言ってた。「昔の歌は三人称で書かれていたんだよ」。
成る程、確かにそうだ。プロの作詞家が書いた歌には情景が見える。
昔、懐メロ番組を見て気に入ると、紙に歌詞を写したものだった。
東海林太郎の「国境の町」とか春日八郎の「別れの一本杉」とか。
小学生の頃だったと思う。
ぼくはフォークが好きだから、シンガーソングライターの歌も好きだ。
ユーミンも中島みゆきも初期の作品は大好きだ。
体で感じた感覚、愛おしさや切なさが言葉になっているからだ。
昭和レトロブームの中で、もう一度昭和の歌謡曲の詩の世界が見直されて、
風景が、人やものの細部が、光や風や手触りが感じられる
そんな歌が生まれるといいなと思う。
「かたはらの秋草の花かたるらく滅びしものはなつかしきかな」牧水
0 件のコメント:
コメントを投稿